第1回酪農実習~神奈川県にて~
2014年10月28日、特別非営利活動法人WEB-REIGOは、「酪農実習」を区内私立中学・高校の生徒15人と 教職員2人、引率者2名の合計19名で実施しました。
実習内容は下記の通りです。
牛の生体について
東京生まれの東京育ちの生徒の中には牛を見るのは初めてという生徒がいました。 牛の胃袋が4つあるという話を聞いたことがない生徒もいました。
牛の胃が4つあるのは繊維質を消化するためで、本当の胃は4番目のもので、他の3つは食道ともいえますが、 反芻といって一度食べたものをもう一度1つめの胃袋に戻して消化します。
こうして消化・吸収しにくい繊維質を分解・吸収しているのです。
セルロースを分解できるのは、世界でシロアリだけという興味深いお話もあります。
餌は主におがくずです。トウモロコシなどもよく食べます。
餌のあげ方はどかんと一度において、牛が好きな時に好きな量だけ食べさせます。
この方が牛にストレスが少ないから、という理由によるものです。
中には一日分を一度に食べてしまうなど、上手に食べる量を調整できない牛もいますが、 そんなときは、飼育員がカバーします。
おがくずは餌のほかに牛小屋の臭いけしや寝床の調整にも使われています。
牛がしっぽを頻繁にふるのは、ハエを追い払うためでもありますが、
機嫌を表す時にも使用するようです。
牛一頭で、1日、15キロから20キロの餌を食べます。
牛一頭で草原にした場合は10ヘクタール必要です。
ときどき体をぶるっと震わせるのは、しっぽで追い払う他に体を震わせて、虫を追い払う目的があるようです。
出産後50日以降から次の子づくりをします。
だいたい1頭の牝牛が、生涯で7頭くらいの赤ちゃんを出産します。
小さいこどもの方が生みやすいため、初産はホルスタインのような大きな牝牛に黒毛和牛の子供を産ませます。
そのため生まれた子供は白い牛から黒い毛並みの子供ということもあります。
この日、丁度前日に子供が生まれていましたが、子牛は、生まれると2時間以内で立ち上がります。
初乳は抗生物質が混入しているため、市場に出荷はできませんが、子牛のためには大切なお乳となります。 たっぷりと飲ませたあと、さらに余るようであれば、初乳が出にくい母牛がいた場合、 別の子牛に利用することもあることから、搾乳し冷凍保存をしておきます。
昔は鼻輪などを付けていましたが、鼻輪はやはり牛にとっても痛いため、動物愛護の観点から今は使用されてはいません。
牛の乳搾り
1歳未満のホルスタイン
牛から搾乳した乳はそのままでは雑菌があるため、殺菌を行います。
高温殺菌は102°から105° 高温殺菌のメリットは素早いこと。
低音殺菌は63°から65° 低温殺菌のメリットは風味がありまろやかになること。
1日、15から17リットル平均の搾乳を行います。
ホルスタインのマックスはだいたい1日32リットルで、出産直後にピークになります。
バター作り
濃縮(乳脂肪45%程度)された生クリームをビンに入れ、15分くらいよく振ります。
(振ることによって脂肪球がくっつきやすくなります)
振っていくうちに塊ができてきます。
塊とホエー(塊以外の液)に分かれたら、冷やします。
この塊がバターです。
バターはすぐ溶けてしまうので、冷蔵庫で保存します。
塩分などの入っていない、あっさりとしてまろやかな味のバターです。
まとめ
普段なかなか家畜にふれる機会のない生徒たちは臭いや思ったよりも大きな牛に最初はおっかなびっくりでしたが、牛の乳搾りあとは、 羊の本物のウール100%に触れたり、ヤギや馬をなでたり、動物たちと積極的に触れ合っていました。
こうした体験は、機会を持たないと無関心のままに終わってしまうこともあります。
自身の成長を促すためにも、他の動物を理解するためにも、酪農体験は、必要なことだと考えております。
今後もこうした機会を生徒たちに提供できれば幸です。